今回は、前回の記事の流れで書いています。
具体的には、社会の同質性と自殺問題についてです。
未成年の自殺
日本では、近年統計上の自殺者が減少傾向にあります。
近年の統計では、日本の自殺者数は減っていることが知られています。
ただし、未成年のみ増加傾向にあります。
参考サイト:自殺の統計:各年の状況 |厚生労働省
統計的には、諸外国でも自殺者は年配の男性に多いという特徴があります。
ところが、先進国の中では日本人の若者の自殺者数がトップだということが長年注目されています。
社会の同質性と自殺問題
未成年の場合、近年はLINEをはじめとしたSNSのコミュニティが関係し、ネット上の空気を読まなくてはいけないため、その分同質性が高くなっている可能性があります。
他方で、成人の場合は社会との同質性を下げる方途に恵まれています。
どういうことか?
たとえば、成人の場合、職場や地域が自分に合わないと思ったら、近年普及しているミニマリズムを参考に他に行けばいいと思う人も増えています。
それに対して、未成年の場合はまだ成人に比べると選択肢がすくない分、ハンディになっているのではないでしょうか。
つまり、これが未成年の自殺が増加していることの背景にあるとも考えられます。
この仕組みについては、関連書籍を通し、後述します。
野外フェスは十五歳の少年を救済するのか
ところで、未成年は成人に比べて社会との同質性を下げる方途がすくないといっても、まったくないわけではないでしょう。
たとえば、野外フェスに参加することはできるのではないでしょうか。
野外フェスは社会の同質性を中和し、リフレッシュしたい場合にも有効です。
また、以前紹介したことがありますが、『レイヴ力』という本があります。
レイヴ力とは、レイヴを中心とした野外フェスを扱った鶴見済さんと清野栄一さんの共著で、編集と構成は木村重樹さんが担当されています。
本書では、上記の3人がレイヴを中心とした野外フェスについて、DJのTSUYOSHIさんや音楽雑誌『SNOOZER』の編集長の田中宗一郎さんや和光大学教授の上野俊哉さんをゲストに迎え、対話した内容が中心になっています。
ちなみに、レイヴ力では田中宗一郎さんも、未成年の生きにくさについて印象的なお話をされています。
さっきね、自分のしんどさは社会性から生まれてくるって話をしたじゃないですか。両親と暮らしている十五歳の男の子のしんどさっていうのは、そこなんだと思うの。
<中略>
ただ「社会性なんて幻想でしかないんだ」と気づいた人間は、そういう場所にポンと行けるんだけど、そうは思わない人がたくさんいるわけよ。
(『レイヴ力』97p)
あと、レイヴ力では日本の野外フェスの場合、フジロックなど大規模な野外フェスの通し券が何万円ということになっているため、本当は一番行きたがっているはずの若者が気軽に行きにくいという話もありますが、そちらにも同感です。
そこで次回。
このブログでは、ビギナーからベテランも楽しめるような、野外フェスの記事をアップしてみます。
参考書籍
参考記事