唐突ですけど、知性にはさまざなまかたちがあります。
現下の日本社会では、頭が良い人というと“速い知性”の持ち主であることを意味する傾向があります。速い知性とはどういうことかというと、瞬時に計算をしたり、効率良く事務作業をしたりする能力のことです。
これに対して、“遅い知性”と言うのも存在します。遅い知性とはどういうことかというと、中長期的に情報を分析したり、戦略を練ったり、予期し難い事態への保険を掛けたりする能力のことです。
こういうことをいうと、『そういうことをいえば、誰だって長い時間を掛けたほうが適切な答えが出せるのではないか』といった意見があるかもしれません。
しかし、こちらで説明している遅い知性とは、標準的な人や速い知性のみ極端に発達している人が長い時間を掛けて出せる答えを、ずっと短い時間で引き寄せることのできる能力でもあります。
これは、近年注目されている“グリット”という人つの作業や活動を継続して行うことのできる、各分野の成功者に多く見られる能力とも多少関係していると思います。
この二つの知性を提唱したのは、行動心理学者のダニエル・カーネマンという人ですが、もともとはファスト思考とスロー思考という言い方で形容されていました。
参考サイト
衝撃!人間の脳には進化の過程で”バカになる機能”が内臓されていた! - NAVER まとめ
ちなみに、遅い知性のほうは、マイノリティの人(在日韓国人・在日朝鮮人・部落民など)は発達している人はすくない気がします。とはいえ、マイノリティの皮肉を言ったり遠回しに非難をしたりしているわけではありません。
なぜならば、同程度の教育水準の標準的な日本人とマイノリティの人を比べると、逆にマイノリティの人のほうが速い知性が発達している印象がするからです。公務員から民間企業の社員の場合もですが。
しかし、それゆえマイノリティの人の間では、速い知性の持ち主でなければ優秀であるということにはならないように思います。
こういう場合、自分たちの基軸になっている能力が評価されるほうが、都合がいいということも関係しているのでしょう。ちなみにアウトロ―の場合もそういう感じがするという意見もあります。
ただし、速い知性が極端に発達していても、遅い知性とのバランスが取れていない場合、表面的な一部の情報で物事を判断し、それに基づいて思考作業をする傾向があります。こうしたことは特定のバイアスが掛かっている場合にも起きやすいです。
このように、脳機能がアンバランスな場合、中長期的な作業をすると判断ミスをしやすくなりますが、こうした難点は適切なカウンセリングやセラピーを受けたり、メンターを持ったりすることで改善できます。
とはいえ、標準的な日本人の場合も、遅い知性が極端に発達している人は少数です。所感ですが遅い知性が極端に発達している人は、人口の約2パーセント程度だと思います。速い知性が極端に発達している人は人口の約10パーセント程度だと思います。
ちなみに、この速い知性と遅い知性は、中野信子さんが『脳はどこまでコントロールできるか?』という著書の中でも脳の速いシステムと遅いシステムとして解説されています。興味のある人はどうぞ。
参考書籍

- 作者: 中野信子
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- 発売日: 2014/08/19
- メディア: 新書
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総括します。
結局、速い知性と遅い知性のどちらかが極端に発達していなくても、適度にバランスの良いひとのほうが、人生の幸福度が高くなり易いのではないでしょうか?
なぜなら、社会というのは標準的なひとが得をしやすいように設計されているようにこの頃は感じられるからです。
あなたもそう思いませんか?