精神的遊牧民

北海道の海辺に輝く朝焼けのように清らかなブログ

映画『ロード・オブ・ドッグタウン』

ロード・オブ・ドッグタウンとは、2005年に公開されたキャサリン・ハードウィック監督の映画で、主演はヒース・レジャーエミール・ハーシュなど。実在したスポーツの出来事や人物に基づいて構成されています。

物語の始まりは、75年のアメリカ西海岸のベニスビーチ周辺の通称ドッグタウン。この年のアメリカの深刻な水不足は、スケートボードユーザーを増やしていきます。

スケートボードとサーフィン(両方扱っていますがメインはスケートボード)を愛する者達の話で、オープニングはジミヘンのブードゥー・チャイルドで始まります。主要人物である三人の少年(エキセントリックで硬派なジェイ、安定していて堅実なステイシー、派手好きでスタータイプのアルバ)は、通っていたスポーツショップの店長スキップにスケートボードの技術を認められ、ショップがスポンサーとなり、チームZボーイズのメンバーとなります。そして各地で開催されるスケートボードの大会で活躍するようになります。が、大会で活躍して有名になるにつれて社会や政治的な問題が生じてくるのですが、その辺りの描写がリアルなところも好感が持てます。

カメラワークも優れていて、スケートボードにカメラを搭載して撮影するなどドライブ感にあふれるスタイリッシュな映像は、スケートボードや波乗りの経験がない方でも楽しめると思います。

一緒の時は、永遠を感じられるほど大切に思っていた仲間とも殆んどはいつまでも一緒にはいられないということを知って、大人になっていくメンバー達の心理や、かつてサーフィンに没頭していたローカルを中心に神聖視されていたパシフィック・オーシャンパーク・ピアと呼ばれる桟橋周辺が火災に遭い小さなコミュニティが損なわれていく場面はせつないです。

冒頭でローカルたちが波乗りを楽しんでいた場面とは対照的に、楽園だったその場所を夕陽がうっすらと染め始める頃、ジェイが荒れ果てた桟橋の上に座り込んでいると、紙に包まれた酒瓶を手にしたスキップが現れます。辺りは絶えることのない波と水平線の遥か彼方までとどく夕焼けに覆われています。夕刻なのは、ひとつの時間が喪失していったことの象徴でしょうか。

他の貧しい仲間達は、メーカーからスカウトされ商業主義の世界に絡めとられていくなか商業の世界と距離を置いてこれまで通り唯我独尊を通そうとするジェイ。しかし自身が崩壊家庭で、貧しい仲間のなかでも清貧レベルが高く望むと望まざるとにかかわらず金が必要になるという矛盾した葛藤から最低限の収入を得る為尊厳が損なわれない程度に妥協していきます。

Zボーイズのオリジナルメンバー達がカメオ出演していたり、映像の解説はオリジナルメンバー(ステイシーとアルバ)によるものと監督と主演俳優たちによるものの2パターンが用意されていますが推奨したいのはオリジナルメンバーの方です。他にもオリジナルメンバーへの詳細なインタビューが収録されていてコンテンツが充実しています。

気が向いた方は、よかったら観てみてください。