精神的遊牧民

北海道の海辺に輝く朝焼けのように清らかなブログ

音楽『テリン・エヴリバディ』

テリン・エヴリバディとは、オーストラリアのシドニーで農業高校の学生だった四人が結成したコーラス・グループ、ヒューマン・ネイチャーのファーストです。

このグループは96年頃から稀にですが、日本の音楽メディアでも紹介されていました。が、ロック程メジャーな音楽ではないこととアルバムがリリースされてから時間が経っていて生死にも関わる音楽であることから路地裏行きにさせていただきました。

私には90年代半ばからしばらくTVの音楽番組の興味のある音楽をビデオに録って編集するという趣味がありました。たしか96年の寒い冬の深夜で、番組名は忘れてしまったのですけど、放送されていた本作の9曲目を録画していて、しばらく視聴していたので気になっていたのです。

アルバムを入手したのはそれから数ヵ月後で、サイクリングついでに発見した海の近くにあるCDショップで、何気なく店内の品揃えの調査を行ったところ偶然発掘しました。

さて、ここから本作の解説に移ります。ア・カペラですから、総じてハーモニーが美しいです。

まずピックアップしたいのは、3曲目の『ウィスパー・ユア・ネイム』。寂しさを表している歌い出しは絶妙なタイミングで、軽快なのですがどこか物悲しい気配が横たわっています。

格調高く親切で、ただのアイドルグループとしてはかたづけられない側面があります。本格派、といっても過言ではない切実な愛の歌(ラヴ・ソング)が多く、7曲目や9曲目が、愛の喪失という普遍的なテーマに基づいていることでも明らかです。

なかでも秀逸なのは12曲目の『ピープル・ゲット・レディ』。こちらはインプレッションズ時代のカーティス・メイフィールドの名曲をカバーしたもので、ベスト・トラックです。原曲は端正な信仰の音楽なのですが、アレンジが優れていて尋常でない程ハーモニーが美しいです。平均年齢21歳(当時)のグループがサルベージした畏るべき音楽の境地。

このアルバムは学生時代、医療機関のソファーに座りながら時々聴いていました。実は青春時代から個人的なBGMに入っている一枚だったりします。

通院している方にとってもそうでない方にとっても良盤(だと思います)。96年作品。